技術・研究

触媒担体用途 新規開発材料 高純度 γ-アルミナ担体

アルミナって、古い材料だと思っていませんか?

γ-アルミナ(γ-Al2O3、活性アルミナ)は、触媒担体をはじめとした幅広い分野で利用されており、ポピュラーな無機材料として知られています。長きにわたって使用されているため、調べ尽くされた古い材料というイメージがあるかもしれません。
当社では、長年培った独自のアルミナ製造技術をベースとして研究を重ね、これまでにない特徴を備えた新しいγ-アルミナを開発しました。

  • 特徴1 シリカをはじめとした第二成分を極めて高分散に添加することができます。
  • 特徴2 マクロ細孔を付与する技術により、メソ-マクロハイブリッドアルミナ担体を作成できます。
  • 特徴3 多種多様な触媒担体および吸着材用途に向け、メソ細孔径のカスタマイズが可能です。

特徴1 第二成分の高分散添加

ゾル-ゲル法の応用によって任意の第二成分を液-液混合しつつ合成することで、極めて分散性が高い第二成分添加を実現しました。アルミナ製造メーカーならではの特徴です。
高い分散性で添加できるため、添加量を抑えながらも第二成分の効果が強力に発揮されます。
幅広い元素種(Si、Zr、Ti、Cu、Fe、etc.)が添加可能です。

  • 従来技術(ZrO2 2.5%)

  • 開発品 (ZrO2 2.5%)

ZrO2-Al2O3のTEMマッピング図

特徴2 マクロ細孔の付与

第二成分添加のプロセスを応用し、造孔剤として有機ビーズを添加することで担体表面および内部にマクロ細孔が均一に発現します。さらに、大きさの異なる有機ビーズを使用すればマクロ細孔径の調整も可能です。
触媒反応において基質の拡散に有利に働くため、活性や反応速度への好影響が期待されます。

  • 表面SEM

  • 断面SEM

造孔剤添加アルミナのSEM像

特徴3 メソ細孔径の制御

  • 合成後の仕上げ工程において、50-90Åの範囲でメソ細孔の制御を可能としました。
    多種多様な触媒反応に向けて最適な細孔径を作成することができます。

用途例・実績

NEDOプロジェクト「平成21~25年度 希少金属代替材料開発プロジェクト 排ガス浄化向け白金族使用量低減技術開発及び代替材料開発 ディーゼル排ガス浄化触媒の白金族使用量低減化技術の開発(プロジェクト番号 P08023)」にて、本開発アルミナの高性能化を検討しました。その成果として、触媒反応に最適な担体として シリカ添加アルミナ を見出しました。シリカ添加による効果と細孔径の制御技術を組み合わせることで 触媒活性および耐久性の飛躍的な向上 を実現し、従来品に比べて 白金族使用量の大幅な低減 を達成しました。

  • アルミナ担体へのシリカの高分散添加による
    特徴的な効果

    • 耐熱性が向上し、高温雰囲気下でのγ相からα相への相転移が抑制されました。

    • Pt-Pd担持排ガス浄化触媒として活性が向上しました。

    • 触媒劣化要因(硫黄、水蒸気)に対する耐久性が向上しました。

    細孔制御による効果

    • マクロ細孔付与により、燃料ミストによる細孔閉塞とそれに伴う性能低下が抑制されました。

    • メソ細孔径の増大によって、細孔内部における基質の拡散が有利に進行し、活性の向上につながりました。

  • シリカ添加による相転移の抑制 (XRD)

採用実績

大阪ガス株式会社にて水蒸気改質用触媒の担体としてご使用いただいています。
大阪ガス(株) エネルギーの高度利用と環境負荷低減のための触媒技術

提供サンプル物性の一例

高純度アルミナ(無添加) シリカ添加アルミナ シリカ添加アルミナ球状品
Al2O3結晶相 - γ-アルミナ γ-アルミナ γ-アルミナ
第二成分 - なし SiO2 4% SiO2 2%
比表面積 m2/g 194 263 230
細孔容積 cm3/g 0.43 0.51 0.45
サンプル形態 - 粉末 粉末 φ5mm球

第二成分の元素種、細孔物性およびサンプル形態のカスタマイズはご相談ください。

ページトップへ