技術・研究

合成ゼオライトZSM-5の
触媒/触媒担体としての利用

ZSM-5(MFI型ゼオライト)の歴史

  • ZSM-5は1972年にモービル社によって報告された規則性多孔質材料である合成ゼオライトの一種で、石油化学産業における触媒/触媒担体や揮発性有機化合物(VOC)の吸着材などとして広く利用されています。
    当社も国内の主要な合成ゼオライトメーカーとして、1990年代からZSM-5の製造販売を続けています。

  • 図:ZSM-5(ミズカシーブスTM EX122)のSEM像

ゼオライトの構造と固体酸触媒/触媒担体としての利用

ゼオライトの骨格構造と酸触媒としての特長

ゼオライトはSiO4とAlO4の四面体を骨格として三次元的に連結した結晶構造を有しており、AlO4が負電荷を帯びるため、カチオンがその電荷を相補しています。
原料由来のNa+、K+などのアルカリ金属がカチオンの代表例です。このカチオンをイオン交換によって、H+(酸型、プロトン型、水素型などと呼称)とすると、固体酸点(ブレンステッド酸点、ルイス酸点)が発現します。また、白金(Pt)等の金属触媒の担体としても利用でき、複合触媒としての開発も盛んに行われています。

  • 図:SiまたはAlを中心とした四面体構造

  • 図:ゼオライトのイオン交換(Na+ ⇔ H+

三次元的な規則性を持つ拡散性に富んだZSM-5の細孔構造

ゼオライトの中でもZSM-5が多く利用されるのは、特徴的な細孔構造に起因する二つの理由があります。
一つ目の特長は、ZSM-5がストレートな細孔(Straight Channel)とジグザグな細孔(Sinusoidal Channel)の二種類を持ち、さらにそれらの細孔が交差するインターセクション(Intersection)という少し広がった空間を結晶内部に持つ点です。この均質で三次元的な細孔構造により、高い反応性と拡散性を両立させることができます。

ZSM-5の分子篩効果による反応基質および生成物の高選択性

二つ目の特長は、ゼオライトを触媒として用いると細孔径の制限を受けるため、反応基質(原料)や得られる生成物に高い選択性が付与されます。
特に、ZSM-5の持つ0.5 nm強の細孔入口径は化成品中間体原料として極めて重要なベンゼン、トルエン、パラ(p-)キシレン一分子が丁度通過できるサイズとなっています。トルエンの不均化やオルト・メタ位キシレンの異性化により、PET樹脂やポリエステルの出発原料となる高純度のp-キシレンを得る反応は、ZSM-5を触媒として使用する代表例です。他にはナフサのクラッキングなどで使用例があります。

  • 図:ZSM-5の細孔(ストレートチャネル側)

  • 図:分子の大きさの例

カーボンニュートラル(CN)時代のZSM-5触媒の展望

2000年代以降はZSM-5を触媒/触媒担体として、合成ガス(天然ガス)を原料にメタノール等を経由し、ガソリンや芳香族化合物、各種オレフィン、LPG(Liquefied Petroleum Gas)を合成する研究が行われ、商用化につながった例も多くあります。
ごく最近では,カーボンニュートラル(CN)の観点を重視して従来の石油化学のグリーン化が進められており、バイオガスや廃プラスチックなどクリーン原料由来の高効率変換反応の多くにZSM-5が活用されています。ZSM-5は、今後も触媒/触媒担体として広く応用されることが期待されます。

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