技術・研究
食品・飲料向け高機能吸着材 食と健康づくりをお手伝い
ミズカファイン™
1991年に法制化された特定保健用食品(トクホ)や2015年にスタートした機能性表示食品制度に適合した食品が非常に早いペースで市場拡大を続けております。これに伴い、「機能性成分の濃度を高めたい」、「機能性に関与しない不純物を除去したい」といったニーズが生じています。
- 『ミズカファイン』は混合物の中から特定の物質を優先的に吸着するという選択的な吸着特性を持つよう設計された無機吸着材です。
- 『ミズカファイン』は食品添加物としての基準に適合しており、食品や飲料の風味改善、不純物の除去、脱色、脱臭など、食品・飲料の製造において様々な用途にご使用頂けます。
ミズカファインを使用した食品成分の吸着、精製イメージ
ミズカファインは複数の成分の中から特定の構造や性質を持った成分を優先的に吸着するという特性を持っています。この特性を用いることで、食品中の機能性成分を残したまま不要・有害な成分を除去することができます。また、一旦ミズカファインに機能性成分を吸着させた後に別の溶媒を使って脱離させることで、機能性成分を選択的に取り出すという使い方も可能です。
ミズカファインの各種グレード
ミズカファインは食品・飲料向けに、材質の異なる3つのシリーズをラインナップしています。各シリーズによって吸着機構が異なるため、吸着できる物質にも違いがあります。吸着させたい成分に適したグレードを選択することで、効率的な分離・精製を行うことが可能です。
-
ミズカファイン MCシリーズ
天然粘土系吸着材(微粉末) / 主成分:モンモリロナイト
【吸着機構】
- カチオン吸着
- カチオンを有する化合物に対して吸着性を示します。
例)レシチン、アミノ酸、第4級アンモニウム化合物 - 酸点での吸着
- 塩基性官能基を有する化合物に対して吸着性を示します。
例)カフェイン、プリン体
-
ミズカファイン SMシリーズ
シリカ・マグネシア系吸着材(顆粒)
【吸着機構】
- カチオン、アニオン吸着
- カチオン、アニオンを有する化合物に対して吸着性を示します。
例)カフェイン、レシチン - 塩基点での吸着
- 酸性官能基を有する化合物に対して吸着性を示します。
例)遊離脂肪酸、ギンコール酸、γ-オリザノール
-
ミズカファイン GSシリーズ
合成非晶質シリカゲル系吸着材(微粉末)
【吸着機構】
- カチオン吸着
- カチオンを有する化合物に対して吸着性を示します。
例)タンパク質
使用例① コーヒー中のカフェイン除去及び風味コントロール
ミズカファインはコーヒー中のカフェインに対して高い除去性能を示します。また、苦味や酸味成分を除去できるため風味のコントロールに役立ちます。
-
ミズカファインMC500N、SM200による
カフェイン除去 ミズカファインはコーヒー中のカフェインを非常に高い割合で除去することが可能です。デカフェやカフェインレスコーヒーでのご使用に加え、コーヒー以外のカフェイン含有飲料や食品(緑茶、紅茶、チョコレート等)にも除去効果が期待できます。
-
ミズカファインSM200による風味
コントロール ミズカファインSM200はコーヒーの苦味成分の代表例であるクロロゲン酸ラクトン類に対して高い吸着性能を示します。また、酸味成分であるクロロゲン酸などの有機酸の吸着にも有効です。苦味や酸味を抑えたコーヒーの開発など、風味や香味のコントロールに期待できます。
使用例② プリン体(キサンチン)の除去
-
ミズカファインMC500Nはプリン体の一種であるキサンチンを極めて高い割合で除去することが可能です。
プリン体を含む飲料や食品でのご使用に有望です。
使用例③ 醤油中のアミノ酸吸着作用
ミズカファインMC10は醤油に含まれる様々なアミノ酸のうち、ヒスチジンを選択的に吸着することが可能です。
ヒスチジンはアレルギー反応を引き起こすヒスタミンの起源物質であるため、ヒスチジンを多く含む食品でのヒスタミン生成抑制を目的とした利用に期待されます。
醤油中のアミノ酸吸着作用
アミノ酸 | 含有量 [mg/100g] | 減少率 [%] | 味 | 液性 | 親・疎水性 | |
---|---|---|---|---|---|---|
未処理 | MC10処理 | |||||
アルギニン | 384 | 358 | 6.8 | 苦味 | 塩基性 | 親水性 |
リジン | 340 | 327 | 3.8 | 苦味 | 塩基性 | 親水性 |
ヒスチジン | 121 | 104 | 14 | 苦味 | 塩基性 | 中 |
フェニルアラニン | 314 | 304 | 3.2 | 苦味 | 中性 | 疎水性 |
チロシン | 67 | 65 | 3.0 | 苦味 | 中性 | 疎水性 |
ロイシン | 519 | 515 | 0.8 | 苦味 | 中性 | 疎水性 |
イソロイシン | 339 | 337 | 0.6 | 苦味 | 中性 | 疎水性 |
メチオニン | 89 | 87 | 2.2 | 苦味 | 中性 | 中 |
バリン | 360 | 357 | 0.8 | 苦味 | 中性 | 疎水性 |
シスチン | 不検出 | 不検出 | - | 苦味 | 中性 | 中 |
アラニン | 592 | 586 | 1.0 | 甘味 | 中性 | 疎水性 |
グリシン | 198 | 196 | 1.0 | 甘味 | 中性 | 疎水性 |
プロリン | 332 | 323 | 2.7 | 甘味 | 中性 | 疎水性 |
トリプトファン | 9 | 9 | 0.0 | 甘味 | 中性 | 疎水性 |
セリン | 353 | 350 | 0.8 | 甘味 | 中性 | 親水性 |
スレオニン | 258 | 257 | 0.4 | 甘味 | 中性 | 親水性 |
アスパラギン酸 | 179 | 177 | 1.1 | うま味・酸味 | 酸性 | 親水性 |
グルタミン酸 | 909 | 901 | 0.9 | うま味・酸味 | 酸性 | 親水性 |
機能性成分の吸着
食品等に含まれる各種機能性成分の吸着試験結果を示します。吸着成分とミズカファインのグレードの組合せによって吸着性が大きく異なっていることが分かります。
リンク(外部サイト)
厚生労働省(e-ヘルスネット)
「特定保健用食品(トクホ)」をはじめ「栄養機能食品」や「機能性表示食品」を解説
消費者庁
機能性表示食品のパンフレットや食品表示法等に基づく食品表示を解説
大阪ガスケミカル株式会社 活性炭事業部
食添規格を持つ活性炭も食品・飲料分野で広く使用されています